2020年4月13日月曜日

調性による空間構築、ソナタ形式


ソナタ形式とは提示部・展開部・再現部という三つパートで構築された建築のようなもの。始まりの提示部では第一・第二主題等、いくつかのメロディーやリズムが奏でられるが、聞き取らなければならないのは和声。
和声とはルネサンス期の対位法という幾つかのメロディの横の連なりとは異なる、音が縦に重なる和音により進行する音楽。その連なりには根音と調(しらべ)を生み出す主音が連結され、調性が生まれる。
ソナタ形式で一番重要となることは、この和音の継続で生み出された調性をいかに聞き取るかということです。
提示部で奏でられる一番主要な調は何か、主音と属音という構成の長調、それはへ長調かニ長調か。その調はやがてどのように移行し、悲しげな短調にかわるか。
展開部では提示部のメロディーやリズムを発展させ、様々な調性を連続させていく。そしてこの形式で構築されつつある音楽はまさに建築と同様、独特な色合い、空間を生み出していくのだ。
音楽を完結させる再現部。
ソナタ形式という建築の完成は、提示・展開された調性を安定、納得した形として認識させなければならない。
どのような形かは聴き手次第だが、展開された世界は再現部において簡略化され、記憶され、はじめに提示された和声と同じようなペースで連なり終曲される。