2013年8月17日土曜日
緑園都市
相模鉄道の新線開発にともない、横浜市泉区に誕生した新興住宅地です。
緑園都市と名付けられた駅、その駅前の一つの街区の設計を平均年齢30歳のチームが担当した。
彼らがこの街を設計する上で大事にした基本的な考えかたは、「ひとつ、またひとつと建築が建ちならんで成長するように、ここでも、ひとつひとつの建築を積みあげて街をつくろう」というもの。
つまり街を一つのビルディングにするのではなく、沢山の建築が寄せ集まったようにしようとしたのです。
この様な大きな街全体を設計するときは、まず全体の構想を先につくり、その構想に基づいて一つ一つの建築をコントロールするというのが一般的な方法ですが、ここでは個々の建築はそれぞれの都合に合わせ自由な形で作られている。
しかしそれだけだとまとまりが悪く、バラバラになってしまいますので、ルールが作られた。
それぞれの建築の中には、隣あう建築や敷地と繋がる通路を設けましょうというルール。
外側の公道だけではなく、建築内にうねうねと続く路地のような自由通路を作ることにより、様々な形の寄せ集めのような街全体にまとまりを与え、一体感を持たせようと意図したのです。
通路のあちこちには小さな広場が作られる。
人々がすれ違がったり、留まったり、立ち話をすることで、顔み知りになりコミュニケーションが生れることを期待しているのです。
この街を見るとまず、全体がグレーで、その素材はコンクリートブロックと銀色メッキされた鉄板やスティールパイプで統一されていることに気がつく。
ここにも設計上の重要な意図がある。
一つの建築ではなく、沢山の建築が寄せ集まったような全体を作ろうとしているのだが、部分部分の建築はそれぞれが勝手に自己主張するのではなく、一つ一つの建築の持つ形が、大きな全体の為の、部品であったり、場面となってくれることが、もくろまれているのです。
設計された建物全体が街であるとか、建築であるとかということより、すべてが人間が織りなす場面の連続体として見えるようにしたい。
設計チームは建築よりも、人と人が織りなす様々な場面が、より良く見えるように、全体をグレーのトーンで仕上げている。