2020年8月18日火曜日

建築家アルド・ロッシ

都市と建築は古代、野蛮を克服した人間が生み出した。 古代社会は建築が都市を創るのだが、現代社会は都市が建築を生み出していく。 
しかし、モダニズムは当初より歓迎されていたわけではなく、一般的な人々には不人気だった。モダニストの冷厳な形態は1920年代、ドイツでは特に評判が悪く、その作品が30年代に英国に届くと、その不人気は一層あおられている。
アメリカでは鉄鋼とガラスによる新しい科学技術(カーテンウォールによる高層ビル)による経済的長所が受容された。その近代的都市デザインに対抗する勢力がなかったわけではない。しかし、多くのアメリカの都市の基本構造はブルドーザーで破壊され、政治的仕組みによって押しつけられた高速道路が社会分断を招き、それが1960年代の急速な都市荒廃を招く原因になっている。
この荒廃はその後のアメリカでは反省されたが、高度成長を目論む日本ではオリンピックによる都市と経済の繁栄をチャンスとして、1964年から2020年、高速道路と高層建築による都市開発は継続されている。
現代の都市社会、そこは「人間の都市と建築」ではなく、政治と経済主導の後期資本主義社会のグローバルシティが必要とするテクノロジー主導の合理的な建物が造られる。 従って現代都市、そこからは「建築の自律」といったテーマは全く失われてしまった。 しかし、すでに亡くなられたが、イタリアの建築家アルド・ロッシは、そのテーマを継続し建築を創造し続けていた。