2011年4月9日土曜日

デロスの祭典


デロスの祭典
 
吟遊詩人の活躍の場は村や町の集会や祭典。
そこではホーメロスのオディッセーに登場するパイエークスびとの宴会のようにいくつかのスポーツ競技と詩の吟唱が行われた。
当時最大の祭典は紀元前8世紀、デロス島。
音楽の神アポロンのもとに沢山の詩人達が集まり、叙事詩のコンテストが行われる。
ホーメロスの活躍期にはまだ現代に見るような神殿は誕生せず、ポリスに匹敵する都市も生まれていない。
ポリスも神殿も無いこの時代ですが詩と音楽に満たされ「前8世紀ルネサンス」と呼ばれている。
前1200年のミケーネ文化の衰退以後、考古学的発見の少ない400年間を暗黒時代と呼んでいるが、その終末の時代は今にみるギリシャ文化の台頭期、ミケーネ時代に流行した英雄祭祀が復活した時代です。
英雄祭祀の復活は人口増により誕生した新しい耕作地の農民たちがアイデンティティの保証を求めたことが原因であろうと考えられている。
そこにはホーメロスの叙事詩の流行が大きく起因したとも考えられる。
15世紀ルネサンスもまた前時代の物質的繁栄を享受し得る新しい価値感を求めた時代。
結果として禁欲的キリスト教に変わるギリシャの神々を復活させている。
二つのルネサンスは共に過去の時代の文化の再生ということより、新しい時代の誕生という面を際立たせており、その文化の体現者としての都市の構成員の誕生という側面を見逃してはならない。
つまり、祭典や生まれつつある都市の広場でホーメロスの叙事詩を聴いた人々は人文主義の花開く15世紀ルネサンス の人々の先駆けでありました。
そして大事なことは、都市をつくり文化を生み出すのは祭典における詩と音楽そして建築です。