2009年11月20日金曜日

古代ローマ帝国の遺産展


やはり、平日の朝一番は正解だ。圧倒的に空いている、とは言え、人気の展覧会、中年以上の女性グループがどんどん多くなるのに加えて、今日は熱心にメモをとる高校生たちがたくさん、11時過ぎにはもういつ通りのにぎわいとなった。内容は期待に以上の楽しい展覧会。初代皇帝アウグストスと同時代のポンペイの生活がわかり易く展示されている。大理石像、調度品、貨幣、秀逸は壁画、モザイク画、特に映像は歴史解説と連動され全体は集約的で明快だ。そんな今回の展覧会の中で、実は楽しみにしていたのは、ソンマ・ヴェスビアーナのディオニュソスとアレッツォの青銅のミネルヴァだ。聞いてはいたが、やはりこの二つはギリシャの彫刻、ローマとは些か異なっているように見えた。発掘されたギリシャ彫刻は実際には非常に少なく、大半はローマ時代の模刻。しかし、この二像は本物のギリシャを感じさせるなにかがある。他のローマ彫刻にはない、洗練度のようなものが感じ取れたことは今日の最大の収穫と言って良い。

2009年11月10日火曜日

ミレニアム スティーグ・ラーソン


b0055976_17185296.jpgなんと言ってもスウェーデン・ミステリーであるところがこの映画の魅力だ。かって、「笑う警官」を筆頭とした警察官マルティン・ベック・シリーズを愛読していたものにとっては「ミレニアム」は待望のミステリーなのだ。なにが魅力、それは、アメリカでもイギリスでもフランスでもない、スウェーデンの、あの特異な社会変遷と重厚な空間感覚のなかに浮き沈みする人間像にある。マイ・シューヴァルとペール・ヴァール夫妻はかって警察官マルティン・ベックを書いてミステリー・ファンを唸らせた。「ミレニアム」もまた同じ。雑誌編集者であるスティーグ・ラーソンは女性編集者をパートナーとし、自分自身の経歴と同じミカエルという人物を中心に据え、現在のスウェーデンという社会の中の人間の持つ暗部を描き出して行く。

b0055976_17194199.jpg映画にもなった「唾棄すべき男」を含めマルティン・ベックはシリーズ化され10冊あまりの名作となった。「ミレニアム」は3冊だ。編集者ミカエルと背中にドラゴンのタトゥを入れたリスベットという特異で謎の女性をコンビとしたシリーズは3冊出版された。しかし、作者ラーソンは既に亡くなった、シリーズの成功を知ることもなく、6年も前のこと、享年50歳、心筋梗塞と報じられている。ミレニアム・シリーズは全て翻訳され今やベストセラー。しかし、ボクはまだ小説は読んでいない。その評判に追いつかず、本を読む間もないうちに映画は封切り、その二日目の今日、何はともわれ映画館に飛び込んでしまったからだ。予想通り映画は重い。孤島に建つ館とその周辺の冷たい海、もうそれだけでミステリー。物語は富豪の孫娘を捜す話、しかし、戦時を含み富豪大家族が持つ様々な人間模様、犯人が仕組んだ福音書の中の謎、踏み込んでいくのは主人公の編集者と若い女性、彼らとて容易に読み取れない特異な経験と体臭を放つ。そして、IT機器に埋まった海辺の小さな木造小屋、この小屋こそ「ミレニアム」と「我々」を繋ぐ特異なインターフェイスに違いない。