2017年5月16日火曜日

マンチェスター・バイ・ザ・シー

質の高い小説を、大きな椅子に包まれ、
ゆったりと、いつまでも読み続けているような体験。
落ち着いた昔からの好みの映画館、恵比寿シネマガーデンで、
久し振り、映画らしい映画をじっくり観た。

素晴らしい映画です。
マンチェスター・バイ・ザ・シーは、
ボストンの北、イギリス風パブと教会が多い海辺の街。
観光地でもないこの街の風景は、なにもなく、静かで美しい。

実在の空間でおこる、どこにでもあるつましい家族の不運。
しかし、画面を流れる時間は、どこまでもただ静かに流れていくだけ。
誰にでも訪れるであろう不運と悲しみと小さな喜び。
それは野に咲く小さな花のような世界だ。
いや、この映画の舞台は海。
描かれているのは、只々静かに船縁を叩く小さな水の音。

この街を訪れてみたい、
小さなパブで主人公のリーと出会い、気が合えば共に夕方の潮風に触れ、
ゆっくりと話してみたい。
静かな人々のいる、静かな空間と時間は、
こんなカタチのない時代でも、
決して無くなるものではないことを、確認するために。

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