2017年3月20日月曜日

オペラのような建築

建築は絵画より音楽に近い、その経験は視覚的に明瞭であることより、感情的、触覚的蓋然的である。建築の面白さは何かと問えば、工学的にどう作るか、芸術的に美しいか、実用的で使いやすいか、精神的に居心地が良いか、ではないだろう。それは、建築を経験することから生まれる、日常とは異なる異種の世界に入り込んだという感覚的な楽しみ。

ロマネスクの聖堂では、暗闇の中に据えられた柱頭飾りついての知識がなくとも、反響する音と呼応し、実際にはまったく目には見えないのだが、不可解な妖精に見張られているような体験をする。そこでは音楽が無くとも、柱が刻むリズムや差し込む光に誘われて耳には聞こえないメロディーを聴く。この異次元の経験が建築の持つ面白味だ。その想像的世界はある種の物語性、音楽性を秘めたオペラなのかもしれない。

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