2016年8月14日日曜日

オラクル・ナイト ポール・オースター

小説の中で複数の物語が重なりあって展開されるのはオースターの特徴、
さらに物語はみな、時と場所が明快に描かれる。
初期作品、ニューヨーク三部作同様、オラクル・ナイトはニューヨーク、しかし、今回はマンハッタンだけでなく、イーストリバーを渡ったブルックリンも舞台となっている。

物語の重層化は、我々の脳内がいつも錯綜しているのだから、その反映と言えるかもしれない。
現実の出来事はいつも時間・空間はキッチリと枠どられているのだから、
彼の物語に嘘はない。
しかし、その展開は入り組んでいる。
虚実と時系列をしっかり見極めないと、迷路に入り込む。
いや、このドン・キホーテ的蒙昧感がオースター小説の魅力かもしれない。
オラクル・ナイトはいつもよりメインストーリーは骨太であり、「ガラスの街」が伏線となって関わっている。
物語が断ち切れた、かっての赤いノートは青いノートに変わり、
オラクル・ナイトは展開される。

長い病みから退院した主人公シドニー・オアはブルックリン・ハイツに近い自宅から久しぶりの散歩に出掛け、
立ち寄った文房具店でポルトガル製の青いノートを見つける。
仕事部屋に戻った彼は友人ジョン・トラウズと二週間ばかり前に話した、
自分の人生から忽然と姿を消す男をめぐる奇妙な寓話のあらがきを書き始める。
あらがきのはじまりは、青いノートの小説の中の主人公、ニューヨークの出版社の編集者ニック・ボウエンの机に届けられた「オラクル・ナイト」(神託の夜)。
さて、
青いノートの中のニック・ボウエンはどうなるか?
友人ジョン・トラウズは?
トラウズの息子ジェイコブは?
妊娠しているシドニーの妻グレイスは?
青いノートを売ったM.Rチャンは?

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