2015年5月20日水曜日

窓際のスパイ  ミック・ヘロン

電子書籍「笑う警官」は40年前の作品の新訳、今日の「窓際のスパイ」は3年前の作品、紙媒体と同時出版。前者はストックホルムを舞台とした警察捜査員の活躍だが、後者は現代のロンドンが舞台となるMI5(内務省保安局)の<遅い馬>と呼ばれる冴えないスパイたちの話。彼らは陰謀から逃れるためスマホをゴミ箱に捨て頭脳を結集し、テロリストに仕立てられたパキスタン人を救う。 都市の華やかさとは程遠いロンドンの片隅の街ミルドバンクの<泥沼の家>が彼らのオフィス。リージェント・パークから追い出された「窓際のスパイ」たちのアジトだ。しかし、<泥沼の家>の <遅い馬>は決して無能ではない、一度はリージェント・パーク( MI5) に雇われた彼ら・彼女たち、頭脳、体力、度胸に遜色ない。そんな彼らの活躍はスパイというより我々の日常とはどこか等距離、親近感がある。 イギリスのスパイと言えばMI6(海外情報の防諜組織)のル・カレのスマイリーかフレミングのボンドだが、 <遅い馬>たちの物語はストックホルムのマルティン・ベックたちの活躍に近い日常感覚。雰囲気は何処と無く平々凡々なスマホやノートパソコンを抱えての情報生活。なる程、情報時代とはどこまでもフラットな毎日であることがスタイルのようだ。

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