2015年4月28日火曜日

スイス、バーゼルのヴィッラのつづき

スイス、バーゼルに事務所を構える、クリスト・アンド・ガンテンバイン(70年代前半の生まれ)。
彼らの設計意図はコンテクストに真摯に向き合うことで建築を作り出すということのようだ。
つまり、周辺が中世のヴィッラやパラッツォであるならばそのコンテクストに、周辺がありふれた産業建築であるならば、その周辺から何を読みとり何を語るか。
彼らの世界観は灰色、グローバル・ローカルあるいは前衛や土着という二項対立ではなく普遍性を見出すことにある。
そこにはロシアの思想家ミハイル・バフチンのいう「クロノトープ」が見えてくる。
すなわち、時間はもはや一直線には進まない、一つの空間に二つの時間が併置される。
建築の歴史性は根拠を失った、いかに、従来の建築に対抗し迎合するかだ。
したがって、過去の建築をレファレンスとして設計、しかし、歴史の賞賛としてではなく、普遍的な問題をいかに取り出すかがテーマとなる現実社会の需要とどう向き合うか。
建築とは要求された需要をすべて受動的に実行するのではなく、また設計者独自のアイディアを過激に主張して生まれるものではない。 現実的な力を意識すること、しかし、ただただフラットに関わるのではなく、向き合っていく。
その道徳的とでもいえる態度はモダニズムをも勤勉に引き継いでいると言って良い。
アーレスハイムの住宅増築
掲載写真を見る限り上の言説との若干のずれを感じる。
既存の建築に増設された建築だが、そのスタイリッシュな現状に対し、あたかも、逆らうかのように不正形な平面系と波形の外壁で構成している。
どうやら不正形な平面系はいくつものボリュームが捩れたままの括れとして接続されていて、その形態は図形として選ばれるのではなく、敷地形態や高低という外部的要請に答えたもののようだ。
様式の規範は教わったが、コンセプトを絶対視するほどコンセプチュアリストでもない。
フォルムを吟味する余裕はなかった、経済的にも時間的にもと彼らは言う。
だったら普遍的な五角形にしようと悩まずに決まった。
五角形は正方形のように完成されておらず、非対称。
不合理な判断だが、やがて設計のテーマになっていったとのこと。
プロジェクトの決定的な瞬間というものは決して目に見えるものではない。
建築はそうした闇から生まれる。
現実のフォルムがどうであれ、 フォルムのおかげで建築家の自律性もいくらか回復できる。
フォルムの問題に触れずに政治的なレトリックを弄したり、ボトムアップの方策を講じたりするのは懐疑的。
フォルムを語らずして一体何を語るのか。
つまり、彼らには建築である以上フォルムこそ重要なのだ。

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