2014年9月23日火曜日

われらが背きし者 ジョン・ル・カレ

映画にもなったというので薦められ、図書館から借り出し、立て続けに読んでいたのが次の三作。
松林図屏風、火天の城、のぼうの城。
だめだ、ボクにはちっとも面白くない。

良く知られた人物の名前ばかりが羅列される16・7世紀の物語。
武将と絵師・職人たち・・・、「のぼう様」はともかく、どの小説からもさっぱり人間像が見えてこない。
映画を見ているのではない、今は本を読んでいるのだ、と思わず言いたくなった。

この時代のイタリアは大好きだが、日本の人間文化状況も全く同じ、もっとも面白い時代と言って良い。
そんな時代だ、読みごたえがある小説は沢山ある。
大好きな辻邦生をだけでもあげてみると。
嵯峨野名月記・安土往還記・天草の雅歌・・・・。

先週末、暫くぶりに神保町の本屋街を歩いてみたが、出版状況は大きく様変わりしたというのがボクの印象、驚いている。
都心だけというわけではないだろう、大型店の書棚は電子書籍で見るような、売れ筋ばかりがぎっしりと並んでいる。
二十世紀の作家は最早古典扱い、紙媒体を新刊で読むなら全集の中を探すしかないのかもしれない。

一冊だけ購入した。
ル・カレの最新作「われらが背きし者」だ。
彼もまた二十世紀の作家。
かって新刊の発売に合わせ、神保町に通ったが、今や紙媒体もアマゾンの時代。
しかし、久しぶり書店で見つけたこの本はお薦めだ。
21世紀になってもル・カレそしてスマイリーは健在だった。

ル・カレは数年前に映画化された「裏切りのサーカス」 http://leporello.exblog.jp/18291985/ (ティンカー・ティラー ・ソルジャー・スパイ)を書いた人。
冷戦時代のスマイリー(ル・カレ作品の諜報員)のサーカスはもう無いが、現代社会を生きつづけるイギリス諜報部(M6)はいまも健在。
例によってヒーローは登場せず、物語は複雑。
と同時に現実の社会や世界から決して離れることはない。
ボンドを超える本格的エスピオナージが久しぶりに復活した。

今回のル・カレはオックスフォード大学で教えるスポーツマン・テューターとその恋人弁護士をロシアのマネーロンダラーとその家族に絡ませ、現代世界の内奥を日々新聞で読む時事世界と連動させ描いていく。
そして、新たにネットで知ったことだが、「裏切りのサーカス」  に引き続き映画としての製作も決まったようだ。

「われらが背きし者」はサーカスの男の物語というより、様々な恋人、家族、人間たちのドラマ。
舞台もカリブ海リゾート、パリ、ベルン、そしてグリンデルワルド。
映像化すればボンド並みに華やかになるのは間違い無し。
今からどんな映像になるのか、大いなる楽しみというところ。

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