2014年9月10日水曜日

やさしい人

試写会場はシネマート六本木、50席余りの会場は開始30分前というのにほぼ満席。 ギョーム・ブラック監督の長編第一作とあって人気は上々だ。 映画は冬を迎えるブルゴーニュの静かな街、トーネルを舞台として淡々と始まる。 中世の以来の小さな街と街を取り巻く石造りの家々。 その内部空間は簡素だが、古びて落ち着いた光を放つ椅子とテーブルとベッドと書棚。 赤々と薪を燃やす暖炉の焔はこのドラマの通奏低音かもしれない。 街の外側は雪に閉じ込められる山道と湖と山小屋。 どの場面も生の世界がそのままスクリーンに写し撮られる。 そしてドラマでは何処までも、時に退屈するほど淡々と静かな小さな冬がつづく。 しかし、そのドラマを今ここで触れるわけにはいかない。青春をとっくにやり過ごしたミュージシャンであるマクシムと十代を終えたばかりのこの街の情報誌のレポーターメロディの恋。 恋はいつでもどこでも、年の差に関わらず、なんの前ぶれなく、突然始まる。その恋は暖炉の焔に似て烈しく燃えるが、しかし、いつか必ず静かに消える。と、書いてしまうと書き過ぎかな。いや違う。それは監督であるギョーム・ブラックの意図ではなく、例によってボク個人の思い込みであり、恋は哲学ではなく気まぐれ。 しかし、ギョーム・ブラックは周到にトーネルの冬の終わりの春を描いた。 それは「やさしい人」はマクシムとメロディという二人だけの物語ではなく、「人が人を本当に愛する」ということの物語としてメッセージしている。(本当にあるのかなぁ!)

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