2014年3月19日水曜日

額縁のなかの幻想都市「死の都」

楽しみにしていたコルンゴルトの「死の都」をオペラパレスで聴く。 

最近、劇場で聴きたいと思うオペラは20世紀の作品が多い。 オペラ・ファンは急激に増加している、イタリア中心の名作以外の作品に多くの人の関心が移ったということだろうか。 しかし、今日の満足感高いオペラ聴いていて、理由はそんなことでは無いような気がした。 ポイントはウイキの作品解説にある。

「 「喪失感(愛するものを喪ったという感覚)の克服」という《死の都》のテーマは、1920年代においては、先の大戦で痛恨のトラウマを味わった当時の聴衆に共感をもって迎え入れられ、このオペラの人気に火を点けた。《死の都》は、1920年代で最大のヒット作のひとつとなった。初演から2年のうちに、ウイーンでは60回以上も上演され、ハンス・クナッパーツブッシュによるミュンヘン上演、ジョージ・セルによるベルリン上演など隣国ドイツにも迎えられ、さらに世界中を駆け巡り、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場においてさえ数回の上演が行われたほどである。 」

プロセニアムアーチの中に一つ現実が画かれ 、その現実の中にいくつかのフィクションが描かれると言うのがオペラのパターンだが、このオペラは額縁のなかの世界は全て「幻想」だ。

終始、豊かで美しい音楽と舞台が描く幻想の中の幻想。 妻を喪った「喪失感」は舞台上のパウルのものだけではない。 大戦後の20年代、市民社会を喪ったヨーロッパ人のものだ。 そして、現在、民主主義を喪いつつある我々の感情と幻想。

舞台構成は巧みだ。 原作は読んでいないが、ベルギー象徴主義詩人ジョルジョ・ロダンバックの「死都ブリュージュ」。

本当に喪ったものは「都市」なのだ。
資本主義と市民主義、そして近代都市の始まりは16世紀、血みどろな宗教争いの中の美しい水の都ブリュージュだった。 14年からの大戦により中世都市ブリュージュは破壊され、そして今、我々は完全に「人間都市」を失った。 Google Keepから共有