2014年1月16日木曜日

まちや紳士録

いい映画だ。町の再生はやはり「人間」だ。 「柳川堀割物語」を思い出した。 あの時の柳川市職員広松伝氏に代わり、今日は北島力さん。 彼は元市職員で退職後、八女町家再生応援団の代表として空き家の再活用に取りくんでいる。 福岡県八女市福島地区は県南部のかっての城下町。 廃城後も周辺の町の商業的中心地、その歴史的町並みは現在もまだ白壁の伝統家屋を数多く残している。 しかし、高度成長後の少子高齢化とバブルの崩壊、人口の減少から始まる、伝統手工芸や町並みの喪失は、いまや中間山村だけではなく、日本中どこの都市でも起こっている問題だ。

記録映画化された八女市福島地区もまたグローバリゼーションの波と自然災害により古くからの町並みが日に日に壊されていった。 奮起した北島さんは「このままではいけない」と町の建築家中島孝行さんと手を組み、伝統的建造物の再活用をめざす。 空き家活用の取り組みのポイントは様々の分野の移住希望者を集めることであろう。 そして、大工、左官、瓦や塗装・・・・伝統技術を若い居住者に引き継いながら、競争無縁社会を「つくろいなおす」営みが映画の中に克明に描かれていく。 この映画を作れた監督の伊藤有紀さんもまた、この地に最近、越して来られた家族。 さらに、都会のマンション生活を切上げ、子どもの為の本や八女の伝統手工芸品の販売促進に関わろうとする家族。 あるいは原発事故で汚染された地を見限り、この地で新たに宅老所を運営されようとされる家族。 みなさん、若い方々だ。

これから始まるであろうヒト・モノ・コトのつながりは、この町の伝統継承。 目を見張る即席の屋台の建設と「燈籠人形」の上演。 そして公演後はまた来年のため解体が始まる。 毎年毎年、3日間だけの3層の屋台の建設と解体に象徴される映画は80分で終わる。 いや、生き続ける人と街は終わることはない。 配布された試写会用の作品紹介パンフのなかには 「町並みと伝統を守ってきたこの地での命をつなぐ営みの記録」と書かれている。 Google Keepから共有