2013年1月1日火曜日

海の仙人 絲山秋子

「ファンタジー」と旅する話を読んでいたら年が明け「春」が来た。 絲山秋子の短編「海の仙人」。 白いローブを着た「ファンタジー」とオレンジ色のダットサン・ピックアップに乗る男、カーキー色のジープと真っ赤なアルファロメオGTVに乗るふたりの女の物語。
 全く音色が異なる四人、群れない、セックスレスな弦楽四重奏というところだろうか。 
「孤独ってえのがそもそも、心の輪郭なんじゃないか?外との関係じゃなくて自分のあり方だよ。背負っていかなくちゃいけない最低限の荷物」・・・うぅうーん、いい音色だ!
 この短編にはいい音がたくさんある。
 宝くじに当たり日本中を旅し、もっとも良いところと住み着き、離れられなくなった原発銀座の敦賀。 
美浜原電の眠そうな姿が見える水晶浜で出会った白いローブの「ファンタジー」。
 都合のいい神ではない、奇跡だって上手くない、孤独な者と語り合うだけのきまぐれの神だがカレーが好きな「ファンタジー」。
 砂を敷き詰めた部屋の窓から遠くイカ釣り船の灯が見えた、という幻想的なインテリア。 
中村かりんという名の「部長」というあざなの恋人。
 オカヤドカリを飼い雷が怖いイナズマン、本当はイタリアの卑語でカッツォ・コーノ。 
セロ弾きのゴーシュ、よだかの星の市蔵と夏目漱石と「恋はあせらず」。 
題名どおり「海の仙人」と「ファンタジー」の話だが、どこにでもあるリアルで日常的な普通の話だから恐ろしい。 
ボクは「ファンタジー」に会いたくない。 ・・・TV「イルマーレ」が始まった、これもまた好きなアメリカ映画だ!
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