2015年7月8日水曜日

マリア・カラスの真実


映画は実写を取り入れたドキュメンタリー。みすず書房の「マリア・カラス」を読み、彼女の生涯を多少でも知るものにとって、この映画は映像ゆえに悲壮だ。

オペラは音楽とドラマが相和したフィクション、その両面を完璧にこなすこは大変に難しい、マリアは歌によってドラマが演じられる数少ないオペラ歌手。生涯を音楽とドラマに捧げ続けた彼女の姿勢はまさに20世紀のディーヴァそのものと言える。生涯におけるたった一つの恋と言われるオナシスとの関係は痛々しい。カルメンではなくヴィオレッタが好きとインタヴューアーに語る表情はまるで少女そのものと感じられた。

映画ではマリアを殺したのはジェット機であり、テレビだとコメントされる。たしかに、多くのファンのためスピードある移動により沢山の演奏をこなせざるをえない現代のオペラ歌手は体調管理は並大抵ではない。上演を減らすか、拒否するしか方法がない。

マリアのスキャンダラスなドタキャンはファンが許してくれない。マリアは舞台ではなく実人生においてもヴィオレッタであり、トスカであり、ノルマであった。しかし、その生涯が悲壮と感じられるのはオペラのヒロインとはことなり、彼女の死のみがたった一人であったことだ。

そんなマリア・カラスを今の若い人達はどう見るのだろうか、かってのディーヴァの人生を。マリアの時代は映像文化以前、彼女の上演舞台はほとんど映像として残されていない。この映画でも録音された歌ははともかく舞台映像は少ない。しかし、それでも、DVDが出たら買うつもりだ、書棚飾りの一つであってもいいではないか。 

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