2010年8月18日水曜日

有元利夫展「天空の音楽」


音楽は音を聴くことだけが楽しみではない。 
絵画もまたタブローの上の色や形を眺めるだけが喜びではない。 
有元利夫はそんな当り前のことを教えてくれる、魅力ある大好きな画家だ。 
白金の庭園美術館、長時間、彼の作品を楽しんだ。 
こんなに恋しいのに、こんなに夢中なのに。 
しかし、絵は今回もまた、一言も、何も答えてはくれなかった。 b0055976_15383033.jpg

学生時代、ピエロ・デラ・フランチェスカに触れたのがこの画家の始まりだ。 
以来、その画風は一貫してルネサンス風、いや、中世的。 柔らかみのある色調の中の静かな安定した造形。 
どの作品もパースベクティブがない空間にたった一人の演者というテアトロン。 
「天空の音楽」と名付けられた美術展は確かに、聴こえない音も響き続けていたような気がする。 
絵のそばに置かれた小さな説明バネルの一つにこんな言葉が書かれていた。 
「僕が舞台を描くのは、 そこが演技をする空間だから、嘘をつく空間だからと言っていいかもしれません。 いっぱい嘘をついて いっぱい演技をして 様式を抽出すれば より真実に近づき 本当のリアリティが 出せると思うのです。」
 有元利夫は25年前 38歳の若さで亡くなった。
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